20230728 仁科水力発電所と池代小水力発電跡見学

東京発電さんのご厚意で仁科水力発電所を見学

伊東西伊豆町線を仁科川沿いにスーパーAOKIから仁科峠に上がって行くと、左手に吊り橋があるところがあり、吊り橋の先には建物、そこに向かって山から大きな管が下りてきている場所があります。そこからまたちょっと上っていくと、また左手に同じように橋があり、建物と大きな管があります。
知っている人は知っている「水力発電所」。全く知らない私でしたが、色々あって、管理・運営されている東京発電株式会社の方のご厚意により、見学ができることになりました。当日は松崎プロジェクトのメンバーを含む6名で参加。
仁科川沿いには、川の上流側から第一、第二、第三という水力発電所があり、第一はやまびこ荘の近くにありますが、ちょっと道路から入ったところで見えにくいかもしれません。今回、見学させていただいたのは第二で、ここでは690軒を賄える電気をつくっています。

水路式発電所の模式図

仁科第一、第二、第三発電所は「水路式」の発電所で、↑図を見ていただいた方が分かりやすいのですが、取水口から取った水を落差を利用して発電所に送り、水車を回して発電をするものです。
第二発電所のところにあるえん堤は、第三発電所を動かすためのもの、ここで溜められた水が山際を走る導水路を渡って第三発電所へ送られます。同じく、第二発電所で使用する水は、第一、第二の間にある取水口から山の中を走る導水路を通ってやってきます。

今回見学したのは第二発電所、第一~第三まで、水の流れはつながっています。

第二発電所で使った水を溜めて、第三発電所に送ります。

第一発電所の導水路は、さらに上の山の際を走っており、開渠となって見えるところもあります。今回、第二発電所の見学ということでしたが、前述の第一、第三について教えてくださったのは元ジオガイド、町のジオや歴史に詳しい渡辺さん。第一~第三の発電所の水の流れはつながっており、仁科川や山の際を開渠・暗渠となって水が流れているというのは、とても面白いものでした。

仁科川沿いに走る導水路、ドライブの際にちょっと気にしてみてください。(ドライバー以外)

そして、発電所の中へ。第二発電所の水車は「フランシス水車」というもので、水の圧力と速度を羽根車に作用させることでタービンを回し、発電をします。システムで24時間管理されており、異常があると担当者にスマホで連絡があるとのことです。大正7年に設立されたという第二発電所。この水車はなんとまだ2代目で、それまでの大正生まれの水車がどのようなものだったかも気になります。
東京発電の担当の方、暑い中ご説明いただきありがとうございました。

この水車で地域の690軒を賄える電気を作ります。

このあと、渡辺さんの計らいで、地域密着型の発電方法として注目されている「小水力発電(出力1,000kW以下の小規模な水力発電)」の事例を見に行こう!ということになり、松崎町池代へ。現在は使われていないということでしたが、水路を引いて水を落とし、水車を回していた施設の遺構を見ました(個人宅のため詳細な写真はNG)。

水力発電用に使われていた水路

今回、元々の目的は水力発電所の見学でしたが、渡辺さんのおかげで、エネルギーとジオ、歴史、町の風土といったことを体験できる「ツアー」を満喫した感じでした。
持続可能なエネルギーとツアー、どちらも地域にある資源をいかし(水力・小水力発電施設とそれを構成する自然環境)、組み合わせていくと、面白い企画になるのではないかと思いました。