松崎高校探究学習のサポートをおこなっている2030松崎プロジェクト。前期は1年生への講義を全5回、2年生へのプロジェクトのチーム活動参加を全2回おこないました。
後期は1年生を対象に、自身の探究テーマを見つけるヒントとなるよう、プロジェクトのチーム活動の見学や参加、地域の方の講義、地元企業の見学といったプログラムを提供。1チーム9~10人の4チームに分かれてもらい全4回の日程でおこないます。
第1回目となった10/4は
1 ツーリズムチーム:松崎町の那賀川沿いを歩くツアー
2 伊豆松崎とんび農園さんの見学
3 高齢者チーム:福祉施設「松崎十字の園」での活動
4 エネルギーチーム:グループワーク
をおこないました。
その中のツーリズムチームでの活動の模様をお伝えします。
町の魅力を伝えるサステナブルツーリズム・エコツーリズムの実施を目指すツーリズムチーム。今回、長八美術館前からスタートし、松崎町の中心部を巡りながら、那賀川沿いを歩き、松崎高校に戻る、約2時間のコースを体験してもらいました。
案内するのは渡辺さんと土屋さん。松崎高校から長八美術館まではバスで移動。駐車場にある町の紹介看板を使い、おおまかに松崎町についてを説明したのちに、ツアースタート。
長八美術館は、松崎出身の左官の名工「入江長八」の作品を展示した美術館で、人目をひく斬新な建物のデザインは、建築家の石山修武氏によるもの。建物屋上にあるトーテムポールのような作品は、ガウディのサグラダ・ファミリア建設に参加している彫刻家の外尾悦郎氏のものであるという説明がありました。
長八美術館からすぐ、浄感寺には、長八の代表作の天井絵「八方睨みの竜」があります。浄感寺の住職であった天明2年(1782年)道部村に生まれた本多正観は、松崎の地に「い草」栽培と畳表の製造を伝えました。向かいの伊那下神社前には「琉球畳表の碑」があり、ときわ大橋の川岸にはその時のい草が現在自生していることを渡辺さんが話すと、みなさん驚かれていました。
町で唯一(西伊豆でも)宮司さんが常駐している伊那下神社は、かつては背後にそびえる牛原山自体が神社の御神体であったとのこと。大イチョウや、湧き水「神明水」といった自然の力を感じる神社です。
そのお隣は、赤い山門の浄泉寺。山門の東側にある経堂は、中に経本が納められている六面体の大きな輪蔵があり、輪蔵を回しながら拝むと、経を読経した功徳があると言われています。そのため、生徒さんたちは神妙な面持ちで輪蔵を回していました。柱の上部にある獅子頭の彫刻は、彫刻師の石田半兵衛の作品です。
そこから、なまこ壁通りへ。近藤平三郎生家といったなまこ壁の建物を見ながら、なまこ壁のその作り方や特徴の説明を受けました。近藤平三郎生家の並びには、観光協会があり(10月に移転)、この建物はかつての警察署、そのお隣は銀行、その向かいは「ぬり屋」といわれた依田善六の屋敷であったということで、当時はこのあたりがとても栄えていたことが分かります。
ときわ大橋を渡って中瀬邸へ。ここは呉服問屋として財を成した依田直吉の邸宅なのですが、かつては中瀬邸の北側にも川があり、那賀川との中瀬になっていたことからこの名前になっているそうです。しんしま橋を渡って、春はソメイヨシノが咲き誇り、途中には馬頭観音などがある那賀川沿いを歩き、松崎高校へ。
松崎高校には松崎町だけでなく、西伊豆町、南伊豆町、下田市から通っている生徒さんがいるので、松崎町をこんなにじっくりと歩くのは初めてという生徒さんも。
今回、当初の予定にあったものの時間の関係で行くことができなかった施設がありましたが、終わりの時間に間に合わせるということも、ツアーの実施では大事なことだという話がありました。2時間という短い時間でしたが、松崎町の魅力を知って、それをツアーとして伝えていくことの楽しさや大変さを学んでもらえたらと思いました。