20220917 「青パパイヤを使った地域起こしに着目して」

松崎町の新しい特産品「青パパイヤ」

静岡大学園芸イノベーション学研究室 公開講座「青パパイヤを使った地域起こしに着目して」が、9月17日(土)9:30~12:30 松崎町環境改善センター&松崎町南郷の河浦花園さんで開催されました。

この講座は、松崎町の新しい町の特産品「青パパイヤ」を広く知ってもらうための講座で、静岡大学農学部松本和浩教授と学生の岡さんによる講義、河浦花園の河浦さんと2030松崎プロジェクト農・漁チームの三余農園 土屋人さん、青パパイヤ石鹸を販売するMAHORAMAさんのお話、であい村蔵らのみなさんと町議の深澤さんによる青パパイヤ料理の試食という盛りだくさんのプログラムでした。

農産物に「インティマシー(愛おしさ)」を

まずは、松本先生による講座。「園芸と民藝の融合」という視点からの松崎における青パパイヤ生産についてのお話です。

民藝とは、各地の風土から生まれ生活に根付いたもの、鑑賞するだけではなく使うことに意味があるもの。工業製品との違いはそこに「インティマシー(愛おしさ)」があるかどうか。例えば、静岡生まれの染色工芸家「芹沢銈介」は今の東京工業大学を卒業しており、サイエンスと民藝には深い関わりがある。インティマシーを農作物に付与することが大事。農作物もその背景にある情報を知れば、愛おしさが生まれるということで、私はその土地でつくられる農産物の「ファン」今の言葉でいうと「推し」になることかなと理解しました。

青パパイヤの秘密を科学的に説明

4年前から河浦花園さんで、青パパイヤの研究をおこなっている静岡大学園芸イノベーション学研究室。学生の岡さんが、科学的に青パパイヤを説明してくれました。青パパイヤはこのまま暖かい場所で育てれば、みなさんが知っているオレンジの完熟パパイヤになります。が、肉を柔らかくしたりするパパイン酵素は完熟パパイヤにはほとんど含まれません。また、パパイン酵素のおかげで、青パパイヤはほとんど鳥獣害がないのです!霜がおりるとダメになってしまうこと、温室での栽培はコストがかかることから、青パパイヤとして収穫した後は掘り起こし、また来年苗を植えるという一年草栽培をおこなっています。熱帯では多年草栽培しているパパイヤを一年草栽培で育てているのは世界で日本だけ。実だけでなく葉はお茶に、茎はウサギの餌に、幹の部分は竹のような構造をしているため、筍のように食べることができるかを試験中。捨てるところがない青パパイヤなのでした。

82歳とは思えない、元気が溢れている河浦さん

そしてそして、松崎町で唯一、青パパイヤを生産している河浦花園の河浦さん。花やシャインマスカットを生産している河浦さんは、品質の良い花きの生産で東京大田市場でも有名な存在。そんな河浦さんが青パパイヤの栽培を始めたのは5年前。テレビでその姿を見て、ジャングルで子どもたちを遊ばせたい、町の活性化になるのでは?と沖縄から苗を取り寄せて栽培を開始したとのことです。

河浦さんは先日、伊豆新聞「老人週間特集」で特集された82歳。姿勢が良く、何よりも「楽しそう」な河浦さん。「新しいことに常に挑戦」すること、大学生など若い人との関わりが元気の秘訣とのことでした。

土屋人さんからは、2030松崎プロジェクトからは農と漁チームの活動報告。耕作放棄地での農作物栽培をおこなっている農と漁チームですが、採油と景観づくりを目指し、菜種を植える予定です。興味のある方、ぜひ2030松崎プロジェクトのHPからお気軽にご参加ください。

青パパイヤ石鹸を販売しているMAHORAMAさん。松崎町地域おこし協力隊の方がはじめた事業で、旬のある青パパイヤを1年を通して楽しむにはどうしたらよいか?というところから生まれた商品だそうです。くすみがとれ、体臭が少なくなると評判の青パパイヤ石鹸。詳しくはこちらをご覧ください。

青パパイヤ狩りは9月下旬から 近くの直売所ではもう販売しています。

講義の後は、河浦花園さんの圃場へ。河浦さんが青パパイヤを上手に育てることができる秘密は、フカフカの土にあり!

プルメリアのような甘い香りのする青パパイヤの花

50センチくらいの棒がスルッと入ってしまいます。

朝は早くから日が沈むまで畑で汗を流す河浦さん、「本物をつくるのが使命」という言葉がかっこよかったです。

青パパイヤ効果でお肉が柔らかく!

そしてお楽しみの試食会。
写真右上より
「摘果みかんと青パパイヤ、ソバのサラダ」「青パパイヤのナムル」「青パパイヤのキンパ(韓国風海苔巻き)」「青パパイヤおろしと焼き魚」「青パパイヤでお肉がしっとりした餃子とシュウマイ」
飲み物は青パパイヤ茶と大沢里の美味しい水

青パパイヤ自体には味がほとんどないので、歯ごたえを楽しむ、お肉を柔らかくするというところに注目した料理なのだなと思いました。
家庭でも簡単にできるものを、とのことでしたが、蔵らさんのレベルが高すぎて…。どれも美味しすぎて、試食なのにおかわりしました。
蔵らさんでは普段から青パパイヤのカレー(個数限定)をテイクアウトで出しているとのことでカレーの作り方を教えていただきました。蔵らさん、深澤さんありがとうございました。

方言にも注目した「くだもの縁結び」

最後に静大の学生、井関さんの出している本の紹介。川根本町久野脇の家庭にある果樹と「方言」にスポットを当てた「くだもの縁結び」。果樹のある日常と地元の方の暖かさが伝わってきます。

河浦さんのつくる青パパイヤを松崎のみなさん、そして大学生が盛り上げる、その中から生まれる「インティマシー」。すっかり青パパイヤのファンになりました。