20240210 三余塾チーム 「三余先生の教えをまちづくりに活かそう」座談会

三余先生に魅了された福永さんから、松崎のみなさんに伝えたいこととは…。

学びの機会を提供する三余塾チーム。その名にふさわしい「三余先生の教えをまちづくりに活かそう」というテーマの座談会をふれあいとーふや。にて開催しました。
講師は「この身北の原野に朽ちるとも―十勝野開拓の祖・依田勉三物語 」の著者、福永慈二さん。
東京生まれで現在も東京にお住いの福永さん。北海道開拓史の執筆を依頼されたことから、松崎の偉人である帯広の開拓者、依田勉三のことを調べる中で、その師であった土屋三余に魅了されます。一気に三余にのめり込むきっかけとなったのが「冬瓜の落書き」の話。依田勉三が子どものころ、落書きされた冬瓜を三余が見つけ、三余は冬瓜に謝りながら手ぬぐいで落書きを消しました。農作物は人の命であり、無から有を生むという農業の哲学を勉三は身をもって学んだというエピソードです。

土屋三余が興した「三余塾」について簡単に説明すると、農民の地位向上を目指した私塾で、三余とは、農業のできない冬の間や夜間、雨天を利用して学ぶという意味。陽明学儒学を元に、徹底した実践教育をおこないました。みなさんの知る松崎の偉人、依田勉三、依田佐二平が三余の門下生であることを考えると、まずは三余先生について学ぶことが大事であり、勉三、佐二平、その他門下生や、現代に生きる三余の教えを受け継ぐに人がやったことを見ることで三余の教えが分かります。
松崎に取材に何度も訪れ、町について調べている時に、本プロジェクトについて知り、興味を持ってくださったとのことでした。

座談会ということから、色々な話があったため、印象に残った話をピックアップします。

松崎プロジェクトにもいかしてほしい三余の3つの精神

  1.  世のため人のため故郷のためを目指す志をたてよ
    幕末から明治の激動の時代だったからこそ、三余のような人が現れ、三余塾があった。
    今は時代が違うので、志をたてるにしても、それは大志でなくてもよい。小志でもよいので、志としたら実践をする、思うだけ、言うだけではだめ。小さい志も続けていくことが大事。
    新しいことに取り組むことはすべて「冒険」であり「開拓」。開拓は目の前にある小さな志から始まる。若い人には小さな志があるので、そこに哲学的な光を当てることが必要であり、思想の学習の場が必要。
  2.  至誠不屈の意思
    順境は人をすくすくと伸ばし、逆境は人を鍛える。松崎は逆境にあるかもしれないが、それは自らを鍛えるエネルギーとなる。若い人は逆境を悲観せず、足元をしっかりと見てほしい。
  3. 「恕」の精神
    協力、協働の精神。三余塾も晩成社も協力、協働で成り立っている。ブレることのない精神的支柱を持ち、コラボしあいながら町をつくっていく。
    現在松崎は「コンパッションシティ」としてのまちづくりを進めているとのことだが、松崎の精神としては「恕」方が馴染みやすいのではないか?
    思いやりを持つだけではなく、思いやり「助け合う」ことが大事。

三余農園の栄久ぽんかんが本日のおやつ

松崎桑葉ファームについて

松崎に養蚕を導入したのは三余。桑葉ファームは、休耕田の利用、高齢者や障害を持つ人の雇用、6次産業化、イベントの開催と、コラボによるまちづくり、観光のお手本がここにあり、三余の考えがいきているように感じる。今後の展開として、桑の葉茶がなぜ、抹茶と比べて浸透しないのかといったことについて色々な意見を聴くことができるような場があってもよいのではないかと思うとのことでした。
※松崎桑葉ファームについては、昨年10月に行われた桑の葉収穫イベントの記事をご覧ください。

matsuzaki2030-blog.hatenablog.com

若い世代に向けて

三余の教えについて、時代が違うのでそのままの理解は難しい。嚙み砕いて伝えることが必要で、著書について自由に絵本などの創作活動に使用してほしく、子どもの声を聞いて書き直してもよいと思う。
昔、近隣の小学校では三聖人の劇をやっていたので、逆に年配の人の方が三聖人を知らない。町の人が三聖を知ることが必要という町の人からの感想がありました。

観光とまちおこし

観光でのまちおこしではなく、土着の生産の結果が観光となるほうが「力のある」ものが生まれる。若い世代ということで、農業や猟といった活動をおこなう地域おこし協力隊に期待をしている。
北海道は道の駅がまちの中心となっていることからも、松崎独自の物産や産業が集まった、農業と結びついた道の駅があるとよいと思う。松崎は「花とロマンの里」ということで、田んぼを使った花畑やまちかど花飾りといったイベントはあるが、地場産品としての花き生産は何かしているのか?という質問がありました。

たっぷり3時間の座談会。福永さんには貴重なお話をいただきました。参加者の中には福永さんの著書をしっかりと読み込んでいる方もおり、質疑も活発なものとなりました。個人的には「大志をいだかなくとも、小志でよい。その小志を必ず実行に移す。」というお話に感銘を受けました。